Samba! 楽しいサンバとホットコロッケ

Samba! 楽しいサンバとホットコロッケ

誰でも一度や二度は、「どうして此処でこんな事ことしているのだろう?」と我に返ることがある筈だ。私も美女とサンバを踊るつもりで頑張ったのに‥‥

サンバ

その昔、ひょんなことからダンス教室のドアを叩いたことがあります。
それは四半世紀以上前の話、東京の飯倉片町に「ホットコロッケ」というライブハウスがあって、当時はサンバを演っている店でした。
演者も外人プロアマなどさまざまだが、音も雰囲気も良い感じで、ステージの前にはスペースがあって、巧拙関わらず誰でも踊れるようになっていました。
バンドも心得ていて踊りやすい曲をときどき演ってくれるのですが、いつもは飲んで聞いているだけでした。

Samba(サンバ)をVolare(ボラーレ)で「Georgia May Foote & Giovanni Pernice」が踊る。

サンバを踊る

ある時、何かの打ち上げだか披露宴の二次会だかで大勢で行き、同じテーブルの娘と話し込んでいると、曲が変わったときにその娘が言った。
「踊らない?」
「え!」
娘がまた「踊らない?」
「踊れない!」
「簡単よぉ、足を前後に動かすだけ」
彼女はテーブルの上に手を載せると、ドッドドン、ドッドドン、ドッドドン、ドッドドンというリズムに合わせて足の動きを説明してくれた。
「そうなんだ」
「踊ろうよ!」
「うん」
今思えばいきなりサンバは無謀だが、門外漢には判るわけもない。
バンドもテンポアップしてお客の踊りを煽るなど、楽しいひとときだった。解説が巧かったおかげで前後には動けるが、それ以外には動けないので困った。
外人のお客もそこそこいるので、巧い人が出てくると引き上げて観る側になる。

I Yi Yi Yi Yi(アイ・ヤイ・ヤイ・ヤイ・ヤイ)で「Pixie Lott と Trent Whiddon」がサンバを踊ります。

何かラテンを覚えたい

芸能人なども来る店だったので、お客の中にはかなり巧い人たちもいる。 「あれ位踊れたら楽しいだろうなぁ」と私のサンバの師匠が言う。
・・・そうか、そうなのか、それならば、貴女のために踊りましょう。
翌日、私は仕事帰りに職場近くのダンス教室のドアを叩いた。
「サンバを教えてください!」
受付の人が奥から中年の男性を連れてきて「先生です」と紹介する。
その男性は「どちらかでやられていたのですか」とたずねた。
「いいえ」
「初めてですか」
「まあ、そんなもんです」
「いきなり、サンバは無理です」
「じゃあ、サルサかジルバかジャイブでもいいです」
私はホットコロッケで踊れそうなジャンルをテキトーに並べた。 当然、話はかみ合わず、その日はダンス教室を後にした。

La Bamba(ラ・バンバ)を「Frankie Bridge & Kevin Clifton」がサンバで踊ります。

クイックステップとフォックストロット

翌休日、高校の同窓U君がダンス教師をやっていることを聞き、訪ねるとそりゃいきなりサンバは無理だという。
踊れるかどうかは別にしても、商売でやっている側からすると、ショートケーキの苺だけ食べちゃう様なもんだからダメらしい。
そして言う。
「100歩譲ってもクイックステップとかかなぁ。それともフォックストロットあたりかなぁ。」
「じゃあ、いいよ」
U君には妹とお袋さんがいて、どこかでダンスをやっていた。
話を聞いていた妹が言った「クイックステップやろうよぉ」
お袋さんが言う「フォックストロット簡単よぉ」
「いいよ」
「何で?」
「い、いいよ」
「サンバじゃなけりゃならない理由でもあるの?」
「べ、別に」
「じゃあ、やろうよぉ」

サンバ娘の正体

さてさて、話にはオチがある。
サンバを教えてくれた娘のことを後日o先輩に尋ねると、彼女はo先輩の友人の奥さんだった。
嗚呼・・・
そして翌休み、私はu君と妹に叱咤されながら、u君のお袋さんとフォックストロットを踊っていた。
「クイック、クイック、スロー、スロー」
なんということか・・・

サンバと言えばブラジルですが、私たちがブラジルと呼んでいる曲は「Aquarela Do Brasil」と言って「ブラジルの水彩画」というタイトルです。そのAquarela Do BrasilでKaren と Kevin Cliftonがサンバを踊ります。

サンバはダンスでもあり、音楽でもありますが、なによりも祭事としてのサンバに尽きるでしょう。衣装と仕掛けと音楽と踊りが溶け合う様は圧巻です。2017年リオのカーニバルでのサンバ!